「黒瀬ー、まだ途中のところとかあるの?」
「小道具の色塗りがまだです」
「どれくらいあるの?」
「5つです」
「えーーーー」
「文句言わずやりましょう」
「……へーい」
私は、スカートの中からジャージを着て、作業に取り掛かる。
「でも、他のクラスに比べたら結構本格的なお化け屋敷に仕上がったよね?」
「まぁ…そうですね」
「私の頑張りの成果かな!」
「ところで水谷さん、大丈夫なんですか?彼とお化け屋敷入ったところで、またこの間みたいに腰抜けたりしなきゃ良いですが」
「…う。大丈夫だよ!慣れたし!っていうかこの間だって別に怖くて腰抜けたわけじゃ…」
ドンッ!
「ひゃーーー!!!」
「…ちょ…水谷さん…」
「あ…」
何か大きな物音がして、びっくりして黒瀬に抱きついてしまう。
「…あ、、や、、あの…違くて…」
「ただ骸骨が落ちただけですよ」
「骸骨?!?!無理無理無理!」
教室の電気は半分消されていて、光が差す場所は全て隠されているから、教室は薄暗くて余計敏感になってしまう。
「小道具の、骸骨です」
黒瀬はそういうと、私の後ろに手を伸ばして、骸骨を手に取った。
おもちゃとわかっていても不気味だ。
「よく触れるね…」
「水谷さん…」
「ん?」
「近いです」
あ。
怖さのあまり、黒瀬に密着し過ぎてしまった。
「…ごめん」
「いえ…」
バンッ
「きゃっ!!」
今度は隣の教室から物音が聞こえ、また黒瀬に抱きついてしまう。
一度、怖いと思ってしまうと、色んな音に敏感になってしまうの、本当にどうにかしたい。
昔の怖い思い出がフラッシュバックして体が大きな物音に拒否反応を起こしている。
ギュッ
え?
何だか体を黒瀬にギュッとされた感触がする。
「…黒瀬?」
「いいですよ。落ち着くまで」
「え?」
「この間、無理やり連れて行って怖い思いさせてしまったので」
え?
いつもの黒瀬と違うのでビックリする。
「黒瀬……ありがと…」
それでも、体は完全に黒瀬に全部預けられていて、私はそうお礼を言うことしかできなかった。



