「…マコトくん!」
「…あ、ごめん…」
私の声を聞いて、慌てて掴んでた私の腕を離して歩いていた足を止めるマコトくん。
「ううん。私こそごめんね。何も言わないで黒瀬と出かけちゃって。でも、何もないから…」
何もない。
そう口に出してから、胸がズキンとする。
「莉子ちゃんのことは信じるよ…でも…黒瀬ってやつ…」
さっきのあの言い方はむかつくよな。
黒瀬は人をむかつかせる天才だから。
って褒めるんじゃなくて…。
「黒瀬は莉子ちゃんのこと本当になんとも思ってないのかな?」
「え?」
そんなこと考えたことない。
黒瀬は私のことを軽蔑してるって思ってたから。
「…どうしてそう思うの?」
「いや…俺の勘違いなのかもしれないけど…普通ならもう少し彼氏の方に気を使うと思うんだよね。俺のこと気にくわないみたいだし」
「そんなことないよ…黒瀬は人間とあんまり関わらない人だから…」
「なのに莉子ちゃんとは出かけるんだね」
嫌味っぽくそういうマコトくん。
「ごめんね、嫌な思いさせて」
「じゃあ、お詫びに付き合って」
マコトくんはそう言って私の手をつなぐと、またいつもの笑顔を見せて歩き出した。



