「急遽、アメリカへの出張が決まって…」

え。
出張?!

「どれくらい?」

「3ヶ月」

「さ、3ヶ月?!」

長い。


「莉子と一緒にアメリカに行くことも考えたけど。莉子、今の学校、友達たくさんいるし、難しいわよね?」

「う、うん」

できれば転校したくない。
アメリカなんて、なんだか怖いし。

「3ヶ月経てば帰ってくるし。それでね…莉子と3ヶ月も離れるのは辛いんだけど…」


ママはティッシュを一枚とって涙を拭く。


「…ママのお友達の家にお世話にならない?」

ママのお友達…。

「この間、偶然スーパーで会ってね。彼女、3年前にここに引っ越してきて、旦那さんと子供と3人で住んでるんですって」

「ほぉ…」

「それで、さっき電話して相談したら、ぜひって」

「…3ヶ月、ママの友達のうちにお世話になるってこと?」

「うん。そうよ」

それで転校が免れるなら、全然オッケーだ。

「わかった!お世話になる!」

ママと離れるのは寂しいけど。
3ヶ月我慢すればいいのだ。

「本当?!」

「うん!!転校嫌だし、ありがたいよ!」

ママは「そう言ってくれてよかった」と少し寂しそうに笑ったけど、でもホッと安心した顔をした。