「水谷さん」
「ん?」
紅茶を一口飲んだ黒瀬が私の名前を呼ぶ。
「お休み、欲しいですか?」
「え…うん!欲しい!欲しい欲しい!」
黒瀬の口から「お休み」なんて単語、出てこないと思ってたよ。
ちょっといいとこあるじゃん。
「では、このプリント…10枚近くはありますね。これ、2日で終わらせてください。そして、その時の正解率で休みを与えるかどうか決めます」
は?!
「えーーーーーー」
「いやなら、いいですよ。ずっとないですから」
うう…。
やっぱり黒瀬は黒瀬だ。
なんでこんなに厳しいのよ。
「わかった、わかった!やる!!やるから!」
「では、頑張ってください。休憩は終わりです。次は物理です」
「はーーーい…」
私はまた、ペンを持ち、教科書に向かう。
「黒瀬はなんで勉強ばっかりしてるの?」
問題を解きながらそう聞いてみる。
また、答えてくれないだろう。
そう思ったけど。
「できることがこれしかないからです」
意外な答えが返ってきた。
「どういうこと?」
「僕は勉強を人一倍頑張ることしかできないので。人一倍頑張って、ギリギリです」
「そんな風にはみえないけど…」
「見せないようにしてますから」
「それどういう…」
「単位」
「へ?」
「問題の単位よく見て」
「あぁ」
話そらされちゃった。
そして、私たちはまた向かい合って、勉強を始めた。



