「はぁ…さっき教えた公式に当てはめればいいだけですよ?」
「そんなすぐ覚えられないよ!」
午後7時。
私の部屋で勉強を始める。
「…その頭の中には何が入ってるんですか」
黒瀬が呆れたように自分のこめかみに人差し指を置く。
「そこまで言わなくたっていいじゃん!」
やっぱり黒瀬は黒瀬で、相変わらず一言多い。
「じゃあもう一度、教えますよ?」
コンコンッ
「ちょっと休憩しない?」
麻友さんがクッキーを持って部屋に入ってきた。
素敵なタイミング!!
麻友さん最高!!
「ありがとうございますっ」
「母さん、まだ勉強中」
「あら、いいじゃない。葵、莉子ちゃんが来て一緒に勉強ができて楽しいのはわかるけど、あんまり莉子ちゃんを振り回しちゃダメよ?」
「…ったく」
「莉子ちゃんありがとうね!」
「いえ…私は黒瀬に教えてもらってるのでありがたいです」
一応、黒瀬のお母さんの前だからそういう。
「早く、出てって」
黒瀬が麻友さんに冷たくそういうと、麻友さんは「はいはい」と言って、部屋を出た。
麻友さんは『黒瀬が私が来て楽しんでる』って言ってたけど、全然そういう風にはみえない。



