「莉子ちゃん歌上手いね〜〜!」
「そ、そんなことないよ〜〜♪」
今日も他校の男子とカラオケではしゃぐ。
「ねぇ、莉子ちゃん…」
西高イケメンのマコトくんが私に近寄ってくる。
「2人で抜け出さない?」
「え…」
栗色の髪に、整った顔つき、大きな目。
思わず胸が鳴る。
「ほら、早く」
私はマコトくんに腕を引っ張られて、カラオケ店を出る形になる。
振り返って優子と目があったが、優子はウインクをして「頑張って」と口パクでエールを送った。
「マコトくん、どこ行くの?」
私の手を話さないマコトくんに聞く。
男の子と何度か付き合ったことはある。
でも…。
私と付き合いたがるのはだいたい、関係を持ちたいだけの人たちだ。
だから、そうなる前に別れを告げてしまう。
そういうことは、本当に大好きな人とだけしたい。
付き合えば好きになるかなって、努力はするんだけど…どうもまだこの人だって人に出会わないんだよね。
「俺、莉子ちゃんのこと結構本気なんだ」
歩きながらそういうマコトくん。
告白されることには慣れているから、正直「やっぱり」という感じ。
「本気って…?」
わざと鈍感なふりをする。
「莉子ちゃんのこと好きだってこと。でも、まだ2回会っただけだから付き合うのは無理だってわかってる。ただ、仲良くしてくれないかな?」
見た目はチャラそうなのに、結構紳士的な対応に少し萌えた。
「う、うん…」
「よかった。じゃあ、ちょっと何か食べながら話そうか」
そう言って、マコトくんはファーストフード店に寄った。
絶対、ホテルか家か人気のないどこかかに連れて行かれるんだと思ってたから驚きだ。
そうなるなら、走って逃げたんだけど。。。
私はマコトくんの隣に並んで一緒に歩いた。