「何に見える?」

その資料には私の名前と折れ線グラフと数字が書かれていた。

バカな私でもこれくらい何かわかる。

「1学期の成績表?」

「おぉ。水谷にしては賢いな」

絶対バカにしてるし。。。


「だったら、話が早い。2学期のテスト、これより悪かったら留年決定だ」

へ?

今なんて?!

ワタシニホンゴワカリマセン。


「え?なんて?」

「やっぱりバカなのか。これ以上低い点数とったらみんなが3年に上がるとき、もっかい2年生してもらうってこと」


「嘘でしょ?」

「先生、嘘ついてお前を呼び出すほど暇じゃない」

「無理だよ!今から参考書とか塾とか無理だから!」
川崎から離れるように、パイプ椅子から立ち上がる。

「先生知ってるぞ〜〜」

な、なに。。。

川崎は私の耳元に口元を近づけた。

「お前、黒瀬のところで住んでるらしいじゃん」


!!!!


「な、な、なんで川崎が知ってんの?!」

「あんたのお母様からしっかりご連絡ありましたよ」

ママのバカ…。

「ってことで、勉強のできる黒瀬にいつでも勉強を教えてもらう環境が整ってるわけなので、参考書を買ったり塾に通うことなく、心置きなく勉強が…」

「無理無理無理無理無理無理!絶対無理!!」

「水谷…」

川崎は呆れた顔をする。

だって無理だよ。

あんなやつに勉強教えてもらうなんて。


「お前、留年でいいのか?じゃあ…」

「ダメだけど!!」

「だったら、黒瀬に頭下げて教えてもらえ」

「そんなー」

「こんなチャンス滅多にないぞ〜〜」

川崎はそういうと、くるっと体をデスクに向けて、パソコンをカタカタし始めた。


私の話は終わりだって合図だ。


ありえないよ。

あの嫌われ者黒瀬に勉強教えてもらうとか。
それに近づくなと言った私から勉強教えてもらうなんて…。