「なんなのよ!」

腕を振りほどいて大きめに叫ぶ。

なんで、黒瀬が私に馴れ馴れしく触ってんのよ!

黒瀬は目をそらしながら話し出す。

「僕も水谷さんに学校では近づかないですし、一緒に住んでいることを誰にも話しません。だから…」

「だ、だから?」

高身長の黒瀬に思わぬ形で至近距離になり、思わずドキッとする。

って。
ドキッってなによ。

「だから…水谷さんも、母からあれこれ僕のことを聞かないでもらいたい」

「…だって…話すから」

「僕からも両親に話しておきます。なので変な詮索はしないでほしいです。時間を取ってしまいすみませんでした」

黒瀬はそういうと、自分の部屋のドアを開けて部屋に入って行った。


なんなのよ…。

黒瀬のくせに、私に頼みごととか。

むかつく。