「ちょ、黒瀬!あんた自分が何やってるか分かってんの?!」


私は慌てて、黒瀬から離れる。


きっと私の顔は真っ赤だ。

でもそんな顔がちょうど、夕焼けのオレンジ色でわからなくなる。


「…わかってますよ」

黒瀬はそういうと、私のことを道の端に追い込んで、ブロック塀に片手を置いた。


ドキンドキンと心臓が鳴る。


きっと…黒瀬にも聞こえてるって…。


「…水谷さんに…キスしました…」


!!!!


「ふ、ふざけないでよ……」

私は顔を下に向けたままそういう。


「下むいたままじゃ…よく声が聞こえないです。なんて言ったんですか?」


うぅ…。


「だから…ふざけないで…」


「ん?」


どうして黒瀬はこんなにも…。

惚れさせるようなことするのよ。。。



「だから…っっ!!!」


黒瀬の指が私の顎を優しく持ち上げる。


!!!


黒瀬とばっちり目が合ってしまう。


こんな赤くなった顔…。


見られたくないよ…。



「ちゃんと…僕の目を見て…言ってください」


「……っ…ふ、ふざけないで…」

「ふざけてこんなことする人がいますか?」


そういう黒瀬の耳もなんだか少し赤くなってる気がした。


「…黒瀬は…ふざけてやるような人だもん」

「それは心外ですね…」

「…学園祭の時だって、別荘の時だって、黒瀬はいつだって……んっっ!!」


また黒瀬が私の口を塞ぐ。



もう…心臓がもたないよ…。


恥ずかしくて離れたいのに。


まだして触れていてほしいみたいな。


私は黒瀬のブレザーをギュッと握る。



こんなにも。


こんなにも愛おしいなんて。


こんなにも。


彼に愛されたいって思っているなんて。