「よしっっ!これで仲直り!で、いいよね?」

「…水谷さんって本当、隙の多い人間ですよね」

「へ?」

黒瀬がどうして若干キレ気味なのかわからない。


「…本当だよな、あんなんだったら簡単に襲われるぞ」


「え、和田くん?ってか!そーだ!さっきのなんなのよ!」

「ああでもしないと、葵に響かねーから」

「はぁ?だからってね!ちょっとは打ち合わせしてもらわないと…」


「打ち合わせ?そんなことしたらリアルさに欠けて響きませんね」
と黒瀬。

「ほらな?」
と和田くん。


「ちょ、ちょっとなんなのよー!2人とも!」



なんなのよ、この息の合った感じ。

…あ、そっか。


ずっとずっと仲良しだったんだもんね。


本当はお互い、早く仲直りしたくてたまらなくて、しょうがなかった人たちだもんね。



「よかったねー!2人とも!!!」

「マジでありがとうな、莉子」

和田くんがそう言って、私の頭をクシャクシャっとする。

「へ…あ、うんっ」


「ちょっ、すばる。ちけぇから」


え?

今の…黒瀬の声? ちょっと不機嫌な顔してるし。


「はいはい、ごめんごめんっ。じゃあ、俺…バイトあるから…行くわ。…葵、今日、来てくれてありがとな。本当に…。俺のこと許してくれて…ありがとう」


「お互い様だから。こっちこそ、すばるからこんな機会作ってくれなきゃ、多分ずっとできなかったから…ありがとう。バイト…頑張れよ」



「あぁ。じゃーな」



2人は拳を軽くぶつけ合うと、お互い笑顔で手を振って別れた。