「く、黒瀬?!な、なんで黒瀬が出てくるの?!意味わかんない!!!」

ママの発言に思わず慌てる。
なんでわかっちゃうのよ。。。

「どう考えたって好きになった子って葵くんでしょ?当たり前じゃない。ママは最初からわかってたわよ!」


お、恐るべし母親。

「告白、いつするの?」

「しないから!」

「ほら、そういうとこ梨子の悪いところよ?」

「だって…」

あんなに嫌い発言しておきながら、気づいたら好きになっていたなんて…そんなこと今更言えるわけ…。


「なに?地味でクラスから浮いてるってバカにしてた男の子に振られるのが怖いの?」

これはママの悪い癖だ。
負けず嫌いな性格の私をそんな風に煽る。

「はぁ?べ、別に……」


でも…。


今回は意地を張れるほど余裕がない。

それくらい、バカみたいに黒瀬のことが好きだ。


「…怖いよ…振られるの」


私が小さな声で俯いてそういうとクスッとママの笑い声が聞こえた。


「わ、笑わないでよー!」


「違うわよ…」

そういうママの顔を見上げると、うっすら目に涙を浮かべていた。


「ママ…」



「梨子…大人になったね」


ママは嬉しそうにそう笑った。