「ちょ…マコトくん…」

とうとう私の制服の中に手を伸ばそうとするマコトくんを見て、私は思わず涙をこぼす。


こんなの……違う。


「…嫌?」

へ?


マコトくんの低くて小さい声が聞こえる。


「…マ、コトくん?」


「俺とするの、嫌かな?」

「…ちが」


違う。

そう言いたかったけど、私の顔はそうじゃない。涙を流してるのはどうして?


「…さっき、誰のこと考えてた?」

優しくそう聞くマコトくんだけど、顔はすごく悲しそうな顔をしている。


「それは…」


「俺、莉子ちゃんの彼氏だよね?なんで…キスしたら泣かれるのかな?」


マコトくんの声が震え出す。


「ずっと…ずっとずっと会いたかった」

「……」

「莉子ちゃんは違った?」

「そんなこと…」

「じゃあ、俺だけ見てよ」

そう言ったマコトくんの目は少しきつくて、思わず目をそらしてしまった。


「あのマフラー…どうみたって莉子ちゃんのじゃないよね」

マコトくんがドアの方にコートと一緒にかけられたマフラーを見てそう言う。