「で?葵くんとは進展あった?」

家に着くとすぐ、ママがニコニコしながらそう聞いてくる。


「はー?なにそれーーー」

私はキャリーバッグを開けてから荷物を取り出しながらそう言う。


「なにもなかったわけじゃないでしょ?思春期の男女が同じ屋根の下にいるんだから、少し意識しちゃうとか…」

ママにそう言われながら、黒瀬との思い出がフラッシュバックする。


キスされた時、かくまってもらった時、抱きしめられた時、お姫様抱っこされた時…。


「ない!!!全然ない!!ないないない!」

「あ、今の顔、莉子が嘘ついた時の顔。なんかあったなーー?」

「ないって〜〜」


♪〜♪〜♪

ママと言い合っていると、突然私の携帯が鳴り出した。


ホーム画面を見る。


『マコトくん』

そう表示されていた。


そうだ。


私、彼氏いるんだった。


最低だ。



マコトくんが辛い思いしていた間。


違う男にドキドキしたりして。



最低だ。



私はマコトくんからのメッセージを開く。





『明日、学校終わったら会いたい』