黒瀬、見送りに来ないなんて、やっぱり結局私のことなんて赤の他人だとしか思っていないのかな。


なんて…。


そんなことどうでもいいじゃん。


あいつが私のことどう思っていようが、どうでもいいことだ。



黒瀬の笑顔が見たいと思ったのは、麻友さんのためで…。


『莉子ちゃんさー。葵のこと好きでしょー?』

なぜか翠さんの言葉が頭をよぎる。


そんなわけない。
そんなわけない。
そんなわけない。


私が葵のこと好きだなんて…。



「…子、莉子!」

「は、な、なに?、」

ママに肩を叩かれてハッとする。

「もう…ボーっとして…。そろそろ行くわよ。明日は学校だし」


「あ、うん。…麻友さん、本当に色々お世話になって…ありがとうございました!」


「ううん。今度ちゃんと家族揃ってまた集まりましょうね!今度は美希も」

「えぇ。ありがとう」

「じゃあ、またね」

「はい!」


2人で麻友さんに軽く手を振る。


あっという間だった。

3ヶ月。



ガチャ



バタン


ママが玄関のドアを閉める音がする。




「ありがとう。…黒瀬」

私は小さくそうつぶやいて、黒瀬家を見上げた。