「わー!鍋ですか!私も何かお手伝いします!」
一階のキッチンで夕飯の準備をしていた麻友さんに声をかける。
パパさんと翠さんが、向かいのリビングでテレビを見てるのが見える。
「あら、ありがとう!どう?莉子ちゃん、楽しんでる?って言っても、ここら辺そんな楽しいものないわよね〜」
「そんなことないです!楽しいです!翠さんに素敵な場所教えてもらいましたし、大自然気持ちいいですよ!」
「ありがとうー。都会のゴチャゴチャしたこととか全部忘れるために、あえて何にもないところにくるの」
「へー!素敵です!私、母子家庭でずっとママは仕事だったから旅行とか遠出とかあんまりしたことなくて…だからすごく嬉しいです!」
「もー!莉子ちゃんったら、いい子すぎ!」
「そ、そんなことないですよ〜」
「莉子ちゃんが葵と結婚してくれたら、たまにはこうして2人でキッチンに立てたりするのにな〜〜」
「へ?!」
食器棚から出したお皿を落としそうになる。
「ごめんね!変なこと言って。莉子ちゃん、彼氏くんいるもんね」
「いえ…黒瀬は私のこと嫌いなので、絶対ありえないと思います。私も彼氏いるし…」
「あら、葵は莉子ちゃんのこと好きよ?」
「え、え?!また、麻友さんは…な、何言ってるんですか…」
「本当だもん。葵、すごくわかりやすい子だし」
麻友さんは得意げにそう言う。
黒瀬が私のこと好き?
そんなことありえない。
麻友さんも翠さんもおかしなことばっかり言う人だ…。
黒瀬は私のことなんか、嫌いなんだよ。



