マコトくんが大変だっていうのに、私ってばあんなガリ勉にドキドキして…。
黒瀬も黒瀬よ!
どうして柄でもないこといつもしだすの?
あ、でも…。
中学の頃の黒瀬だったら、ああいうこと言っててもおかしくないかも。
元親友くんと何が原因で喧嘩したんだろう。
ガチャ
部屋でぼーっと考えごとをしてると、突然部屋のドアが開いた。
はぁ?!
「黒瀬?あんた人にはノックしろとかいうのに自分はノックしないわけ…きゃっ!!!」
「うぉっっ!!」
ドアの前には見たことない男の人が立っていた。
「だ、誰!!」
「黒瀬 翠(クロセ ミドリ)。僕の兄です」
後ろから出てきた黒瀬がそういう。
「莉子ちゃんのことは家族から聞いてるよ。可愛いねー!よろしくね。葵の兄でーす」
翠さんという人は、軽いノリで挨拶をする。
「黒瀬のお兄さん?!は、初めまして!」
「よろしくーー♪」
黒瀬とは全然似てない。
っていうかチャラそう。
「それで…2人は付き合ってるの?」
「へ?!ないです!ないですないです!」
「そーだよ。水谷さんには恋人がいる」
「そっかー」
と言いながら何やらニヤニヤしてる翠さん。
「にしても葵、相変わらずだなー?マジでその感じで学校行ってんの?ダサっ」
「うるせー。仕方ないだろ」
黒瀬…お兄さんと話すときは敬語じゃないんだ。
「あ、ここお兄さんの部屋だったんですよね。そしたら…邪魔ですね、私」
「翠でいいよ。莉子ちゃんの顔見に来ただけだから。大晦日まで葵のベッド借りるよ」
「はぁ?聞いてない」
「言ってねーもん。あ、母さんに渡すものあったんだった」
翠さんはそう言って、階段を駆け下りていった。
台風みたいな人だな。
「すみません。水谷さん。うるさくしてしまって」
黒瀬が謝る。
「ううん。なんか元気な人だね」
「うるさすぎるんですよ」
そういう黒瀬の横顔がなんだか少しだけ嬉しそうに見えた。



