「麻友さん」
「ん?どうしたの。莉子ちゃん」
夕食の片付けをしていた麻友さんに話しかける。
「あの…彼が急に田舎に帰らないといけなくなってですね…冬休みの予定がだいたい白紙になっちゃって…」
「それって、私たちと別荘に行けるってこと?!」
「いや、まぁ…その。それで迷ってまして…」
「迷う?」
麻友さんは片付けを終えて、私の話を聞きながら紅茶をいれ始める。
「彼が辛い状況なのに、自分だけ楽しもうとするなんてそんなのどうなんだろうって」
「莉子ちゃんが逆の立場ならどうかな?」
「私?」
麻友さんは入れた紅茶と用意したカップをテーブルに置いて、紅茶を注ぐ。
「自分がたとえ大変な状況だとしても、大切な人にそれを共有してほしいとは思わないんじゃないかしら。離れてる間でも莉子ちゃんが楽しんでくれるのを一番に考えてると思うわよ?だって、莉子ちゃんの選んだ彼なんだもの」
「麻友さん…」
「逆に自分のことだけを考えてひたすら待って寂しい思いさせてるなんて考える方が辛いわよ。一緒に別荘に来てほしいな。年明けたらすぐ莉子ちゃんのお母さんも帰ってくると思うし。思い出作り、これくらいしかできないけど」
「はい。ありがとうございます!!麻友さんに相談して楽になりました!彼に連絡して聞いてみようと思います!」
「ええ。あ、莉子ちゃん」
「はい」
「莉子ちゃんは本当にその人のこと好きなのかしら」
「…へ?」
「あ、ごめんね!なんかちょっと…莉子ちゃんには葵とそうなってほしいなんてちょっと考えてたから」
「私と黒瀬がですか?!」
「えぇ。でも私の願望だから気にしないで!彼氏くんからオッケーもらったら楽しみましょうね!」
「あ、はい…」
私はそう答えて、入れてもらった紅茶を飲んだ。



