春、さくら、君を想うナミダ。[完]




体育の授業が終わったあと、



あたしは教室に戻ろうと、ひとりで廊下を歩いていた。



いつも以上に憂鬱な気分。



体育の時間は、ダンス発表会が終わるまで地獄だ。



もう学校に来たくないよ。



体育だけでも休みたい。



泣きたくて……どうしようもない……。



階段を上がっていくと、



上からハルくんが男友達と話しながら階段を下りてくるのが見えた。



彼と目が合い、あたしはすぐに視線をそらす。



学校では話さない。



あたしが決めて、彼にお願いしたことだった。



付き合っていることは、ふたりだけのヒミツ。



それでもこうして目が合うだけで、



あたしはうれしかった。



彼とすれ違う瞬間、



彼の手があたしの手に触れる。



一瞬だけ、手をぎゅっと握りしめられた。



「……っ」



あたしは思わず振り返ってしまう。