春、さくら、君を想うナミダ。[完]




あたしたちが付き合っていることは、誰も知らない。



ふたりだけのヒミツにして欲しいと、そうあたしが頼んだ。



「俺は、さくらのこと、みんなに自慢したいのにな」



彼は、そうやっていつもうれしい言葉をくれる。



自分に自信が持てないあたしを、彼は好きでいてくれる。



だけど、学校の人に知られるのは、やっぱり怖い。



クラスの女子から、何を言われるかわからない。



ただでさえ悪口を言われて嫌われているのに。



「ごめんね」



「さくらが嫌なら、しょーがないけどさっ」



自慢になんてならないよ。



あたしと付き合ってるなんて学校の人たちに知られたら、



ハルくんに迷惑がかかるだけ。



あたしのことで彼が悪く言われるなんて、絶対に耐えられない。



「学校では話してくんないし、廊下ですれ違ってもプイッて感じで冷たいもんなー。さくらは」



「……あたしのこと、嫌いになる?」



「ふっ……なるわけないじゃん」



彼は、白い歯を見せてニコッと笑った。



「俺のほうが、好きで好きでしょーがないんだからさっ」



ハルくん……。



「あたし……」



「ん?」



あたしだって好きだよ。



自分の気持ち、うまく言葉にできなくて。



ハルくんみたいに素直にいつも伝えられないけど……



大好きだよ。