傷つけるつもりなんてなかった。



つらいとき、つらいって素直に言えないのは



誰かに助けてって言えないのは



あたしが弱虫だから……?



いつのまにかあたしは、



大切なものを見失ってしまっていた。



あの頃、ベンチから見つめていたのは、



涙でにじんだ赤い夕日。






――16歳の秋。

ふたりの歩幅は、少しずつズレ始めていたんだね。