春、さくら、君を想うナミダ。[完]




彼の腕の中で、あたしは小さくうなずいて答えた。



「……はい」



彼はゆっくりとあたしの体を離す。



見つめ合ったあと、あたしは恥ずかしくなって顔を背けた。



「こっち向いて?」



あたしは首を横に振る。



「さくら」



だって……だって……。



「……恥ずかしいんだもん」



小さな声で言うと、



彼の手が、あたしの頬にそっと触れる。



「こっち見てって」



「……嫌」



「嫌って……可愛すぎんだろ」



そんなこと言われたら、絶対に彼の顔を見られない。



「あたし……いまドキドキしすぎて……」



自分が自分じゃないみたいで。



心臓が壊れそうなの。



「俺もだよ」



「絶対あたしのほうがドキドキしてるもん」



彼の瞳を見た瞬間、



彼はあたしにキスをした――。