春、さくら、君を想うナミダ。[完]




「待たせちゃって、ごめんね」



「いま来たとこだよ」



制服姿で会うのがほとんどだから、



しかも私服じゃなくて浴衣姿って……なんだか緊張する。



「浴衣うまく着れなくて。ヘンじゃない?」



「大丈夫」



「本当に?」



「うん。すごく可愛い」



か、可愛いなんて……。



そんなこと言ってもらえるなんて思わなかった。



体中が一気に熱を帯びていく。



どうしよう……。



胸がドキドキする。



可愛いって言われたのは、あたしじゃなくて浴衣のことなのに。



この浴衣を選んでよかった。



頑張って浴衣着てよかった。



「ハルくんも浴衣すごく似合ってる」



「そう?」



「うん。かっこいい」



彼は黒の浴衣で、普段よりもずっと大人っぽく見えた。