彼しかいない。
あたしにとって、たったひとりの友達。
「俺はさぁ……友達って多けりゃいいってもんじゃないと思うよ?」
彼は優しい顔で微笑む。
「俺だけじゃ嫌?」
下唇をきゅっと噛みしめたあたしは、首を横に振る。
「楽しいときだけ一緒にいるのが友達じゃないと思うよ。本当の友達って、自分がつらいときに心配してくれたり、味方になってくれる人かなって思う」
そっか……。
中学時代、友達だと思っていた人たち。
あたしは、彼女たちと本当の友達にはなれなかったのかもしれない。
いま思えば、
あたしは中学の頃から、友達の前でも気を遣ってばかりいた気がする。
友達の話や悩みを聞くばかりで、
自分のことはほとんど話せなかった。
ただ学校で一緒に過ごしていただけで友達なんだと
いつのまにか思い込んでいたのかもしれない。
それに気づかないまま、あたしは引っ越すことになって、
みんなと離れ離れになった。
本当の友達じゃなかったから、離れたらそれっきり。



