春、さくら、君を想うナミダ。[完]




「さ、触ってもいいよ?」



「え?」



ちがう、間違えた。



あたし、なに言ってんだろう。



彼も驚いて、きょとんとした顔をしている。



「う、うそだけどねっ」



すぐにごまかしたつもりだけど、



本当になに言ってるんだろう。



夏の暑さのせいで、頭おかしくなったのかも。



「アハハッ。なんか今日のさくら面白いな」



面白い……?



そんなことを誰かに言われたのは初めてだった。



どのへんが面白いのか、自分ではよくわからない。



でも彼は、楽しそうに笑っている。



彼が笑っていると……あたしもうれしい気持ちになる。



「あ、そういえば、さくらさぁ……」



「うん」