春、さくら、君を想うナミダ。[完]




「散歩……しよっか」



そう言って彼は先に歩き出した。



「うん。モモ、行くよ」



あたしとモモが彼のあとを追いかけていくと、



彼はモモと並んで走ったり、



ボールで遊んでくれたりして、モモも楽しそうだった。



「アハハッ」



彼の大きな笑い声を聞いているだけで。



彼の優しい笑顔を見ているだけで。



今日は楽しい1日だなって、そう思える。



「さくら、あそこの自販機まで競争しよっか」



彼が指差したのは、50メートル先くらいにあるジュースの自動販売機。



「絶対に負ける気がする……」



あたしがボソッと言うと、彼は満面の笑みを見せる。



「大丈夫。俺、めちゃめちゃ足遅いから」



「えー?本当に?」



疑いの目で、彼をジッと見つめる。



「んで、負けた人は、勝った人のお願いひとつ聞くっていうのはどう?」



「うん……いいよ」



「よしっ!よーい、どんっ」



「えっ?ちょっと待って」



あたしは彼のあとを必死に追いかける。