春、さくら、君を想うナミダ。[完]




それから、彼はあたしとの約束を守ってくれた。



学校の廊下で彼とすれ違っても、彼はあたしに話しかけてくることはなかった。



そのかわり目が合った瞬間に、



彼は周りに気づかれないように、ニコッと笑ってくれたりする。



あたしも笑顔で返そうと思うのに、すぐにうつむいたりしてしまった。



いつしかあたしは、彼の姿を見かけると、



胸が締めつけられるような切なさを感じるようになった。



遠くからでも彼の姿を見つけると、目で追いかけるようになった。



その気持ちがなんなのか。



恋って……

呼んでもいいのか。



あたしにはまだ、わからなかったんだ。