春、さくら、君を想うナミダ。[完]




「ううん、えっと……なんの話しだっけ?」



「悩みあるなら聞くよ?」



「本当になんでもないから」



クラスの女子に嫌われていることを、



隣のクラスの彼には知られたくなかった。



クラスに友達がいないことは、彼も知っている。



けれど、悪口を言われているとか、嫌われていることまでは、



きっと気づいていない。



自分のクラスの内部事情というのは、



案外、他のクラスには伝わらないものだ。



うちのクラスの担任でさえ、あたしがそういう思いをしていることに



気づいていないのだから。



彼には、これからも知られたくなかった。



もし、あたしがクラスで悪口を言われていることを彼が知ってしまったら、



彼にまで嫌われてしまうかもしれない。



たったひとりの友達まで失ってしまうなんて嫌。



あたしには、それがなによりも怖かった。



もしそのことを知っても、彼はあたしと友達でいてくれるかもしれない。



だけど、彼にきっと迷惑をかけてしまう。



あたしなんかと仲良くしてるって知られたら、



彼までみんなから悪く言われてしまうかもしれない。



だから彼には、以前こう伝えた。



『学校では、話しかけないで欲しいの』