春、さくら、君を想うナミダ。[完]




ハルくんと石黒さんが、廊下を歩きながら話をしているところを最近よく見かける。



ふたりは、付き合いだしたのかもしれない。



誰が見てもお似合いのふたりだった。



ハルくんがあたしの名前を呼ぶことは、二度とない。



廊下ですれ違っても、目を合わせることもない。



放課後、ふたりだけのヒミツの場所だった、



あのベンチに行くことも二度とない。



もう元には戻れない。



あたしが選んだんだ。



あたしから別れを言い出して、終わらせた。



彼の気持ちが冷めたことを知りながら、



何も知らないフリをして付き合い続けるなんて、あたしにはできなかった。



たくさん悩んで、大切なものを手放したんだ。



後悔なんてしない。



そう自分に言い聞かせることしか、できなかった。