出会ったときから、ハルくんは優しい人だった。
この町に来て、たったひとり。
あたしのそばにいてくれた人。
いつも立ち止まってばかりのあたしの手を引いてくれた。
最後まで優しい人でいてほしいから。
あたしが嘘をつけばいい。
「もう……好きじゃない……?」
あたしは、うつむいた。
「ごめんね」
「なんかあったのか?」
うつむいたまま、あたしは首を横にふる。
「なんかあるなら、俺にちゃんと言えよ」
もういらない。
そんな優しさ、いらないから。
「なにもないよ。ただ、気持ちが冷めただけ」
少しの間、沈黙が流れる。
胸が痛くて、どうしようもなかった。
「冷めたって……そんな淡々と言うなよ」



