春、さくら、君を想うナミダ。[完]




出会ったときから、ハルくんは優しい人だった。



この町に来て、たったひとり。



あたしのそばにいてくれた人。



いつも立ち止まってばかりのあたしの手を引いてくれた。



最後まで優しい人でいてほしいから。



あたしが嘘をつけばいい。



「もう……好きじゃない……?」



あたしは、うつむいた。



「ごめんね」



「なんかあったのか?」



うつむいたまま、あたしは首を横にふる。



「なんかあるなら、俺にちゃんと言えよ」



もういらない。

そんな優しさ、いらないから。



「なにもないよ。ただ、気持ちが冷めただけ」



少しの間、沈黙が流れる。



胸が痛くて、どうしようもなかった。



「冷めたって……そんな淡々と言うなよ」