春、さくら、君を想うナミダ。[完]




石黒さんの言葉が、頭から離れない。



『別れたいのに別れられなくて悩んでるって……そう言ってた』



聞いたときはショックで冷静に考えられなかったけど、



もしかしたら石黒さんの勘違いということもあるかもしれない。



あたしはまだ、ハルくんを信じたいんだ。



人から聞いたことじゃなくて、



自分の目で見たものを信じたい。



冬休みのデートは本当に幸せな時間だった。



待ち合わせの場所にも、先に来て待っていてくれた。



寒いのに、あたしの首にマフラーを巻いてくれた。



前の日の夜、楽しみで眠れなかったって言ってくれた。



あたしにイチゴを食べさせてくれた。



温泉を出たあと、ずっと手をつないでいてくれた。



大人になったら、今度は泊まりで温泉旅行しようって言ってくれた。



帰りも、家の前まであたしを送ってくれた。



別れたいなんて、嘘だよね……?



石黒さんの勘違いだよね?