教室や廊下に彼の姿はなかった。 もう帰っちゃったのかな。 彼のケータイに電話をかけても出なかった。 どこにいるの……? いますぐ、ハルくんの顔が見たいよ。 あたしは階段を下りていく。 「麦田さん、カンニングとかありえないよね」 「最低だよね~」 「普段おとなしいのに、やること大胆ていうかさぁ」 「ホント、なに考えてるかわかんなくて怖~い」 クラスの女子たちが下駄箱の前で話しているのを見て、 あたしはすぐに引き返した。