春、さくら、君を想うナミダ。[完]




バタバタと逃げていく足音が聞こえて、ホースの水も止まった。



扉を開けると、トイレの中にはもう誰もいなかった。



震える足でなんとか立ち上がり、



壁に手をつきながらゆっくりと歩いた。



投げ出された緑色のホースを踏みつけ、



あたしは鏡に映った自分の姿を見つめる。



全身ずぶ濡れで、髪や制服からポタポタと水が垂れる。



「誰か……」



助けて。