お母さんが玄関のドアを開けた瞬間、 あたしは呼び止める。 「お母さん……話があるの」 「いま?」 振り返ったお母さんと、見つめ合う。 「ここじゃ、ちょっと……」 「また今度でいい?」 今度って、いつ? いつならあたしの話、聞いてくれるの? 「お母さん……」 「もう行かないと」 お母さんは自分の腕時計を見た。 「わかった。行って……」 あたしはぎゅっと拳を握りしめる。