この温泉施設では、日帰り客にも浴衣を貸し出していた。
お風呂から上がるとあたしは浴衣に着替えた。
浴衣を着たのは、夏の花火大会以来。
旅行気分が味わえてうれしかった。
脱衣所から出ていくと、浴衣姿のハルくんが待っていた。
「ごめんね。待たせちゃって」
「いま出てきたとこだよ。さくら、少し顔赤いけど平気?」
「ちょっと温泉入り過ぎちゃったかな。気持ちよくて」
彼の大きな手が、
あたしの頬に優しく触れて、胸がぎゅっと締めつけられる。
見つめ合ってドキドキしていると、
あたしのお腹がグーッと大きな音で鳴った。
「い、いまのは、その……」
「アハハッ。お腹へった?俺もへった」



