電車に乗り込むと、あたしたちは2人掛けの座席に並んで座った。
「電車の中、あったかいね」
「そうだな。早くも眠気が……」
「ふふっ、寝ていいよ?」
「ん……さくらも寝な」
「でも寝過ごしたら……」
「大丈夫だよ。少しだけ」
「うん」
手を繋いだまま、
あたしは彼の肩にもたれかかって瞳を閉じた。
すると、彼もあたしのほうに頭を傾ける。
さっきまで冷たかったふたりの手が、あたたかくなってきた。
心地いい揺れの中、
少しのあいだ眠った。
幸せな1日のはじまり。
あたしたちは、
電車とバスを乗り継いで遠くに出掛けた。



