「さくら」
「うん?」
彼が自分の巻いていたマフラーを取って、あたしの首元に巻いてくれた。
「ぐるぐる巻き~」
「か、顔まで巻かないで……」
あたしが両手でマフラーを掴んで顔を出すと、彼は満面の笑みを見せる。
「ごめん、ごめん」
そうやって、
いじわるしたように見せて優しいから、憎めない。
「ハルくん、寒くない?」
「全然平気」
「あったかい……ありがとう」
彼が巻いてくれたマフラーに顔をうずめると、彼の匂いがしてドキドキした。
「あ、電車来た」
スピードを落とした電車がホームに入ってくる。
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