彼の顔を見た瞬間、あたしはその場に立ち止まった。
あたし、どんな顔をすればいい……?
だけど、
そんな迷いさえ一瞬で吹き飛ぶくらい、
彼はとびっきり明るい笑顔をあたしに見せた。
「さくらっ」
ベンチから立ち上がった彼は、缶ジュースを両手に持ってあたしのほうへ歩いてくる。
あたしの前で立ち止まった彼は、片方の缶ジュースをあたしに差し出した。
「ノド渇いた?」
「あ……うん、ありがとう」
あたしは彼から缶ジュースを受け取り、
沈黙になるのが怖くて、とりあえずジュースを飲もうとした。
「いただきます……きゃっ」
缶ジュースのふたを開けた瞬間、泡が勢いよく吹き出して顔にかかった。



