春、さくら、君を想うナミダ。[完]




「俺の話、全然聞いてなかったっしょ?」



「そんなこと……」



「なんかあった?」



彼の言葉で真っ先に浮かんだのは、体育の時間のこと。



彼女たちに仲間外れにされたまま、どうやってダンスの振りを覚えよう。



どうしたら何事もなく発表会を終えられるのかな。



今日の授業みたいに、本番もあたしだけ踊ることができなかったら、



先生に怒られるだけでは済まない。



みんなの前で恥ずかしい思いをすることになる。



みんなに笑われているところを想像するだけで、怖くてたまらない。



「今日なんかヘンだよ。ボーッとしてばっかりでさ」



「本当になんでもない」



「さくら」



ハルくんは真剣な表情で、あたしを見つめる。



「なに?ハルくん……」



「なんで無理して笑うの?」