春、さくら、君を想うナミダ。[完]




「さっきのは、あの、その……」



「さくらは俺のだろ?」



彼のまっすぐな瞳に



胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。



「アイツ誰?ぶっ飛ばすから」



「だ、だめっ」



「どして?」



「どうしてって、なんかヘンだよ?ぶっ飛ばすなんて……いつもの優しいハルくんじゃない」



どうしてそんな怖い顔してるの?



冷たい口ぶりも、怒っているような瞳も。



いつものハルくんじゃない。



「お財布拾っただけだよ。そしたら……いきなり抱きつかれて、今度お礼するって言われて……」



「ありえねぇ」



「ごめんなさいっ」



「さくらじゃない。そいつ」



「あたしもびっくりしたけど、冗談だと思うから……そんなに怒らないで」



彼は、あたしから顔を背けて大きく息を吐き出した。



「ごめん、俺……さくらが他の男に触られんのとか、耐えらんない」