まさか、そこまで考えてくれてるなんて夢にも思わなかった。

私が気付かなかっただけで、少しずつだとしても想われて居たのかも知れない。



「辞めて……、ずーっと元気で居れたら……。その分、一緒に居てくれるの……っ?」



「言っただろ。一緒に死ぬと」



「私、辞める……っ……」



「……ん」



風岡の胸に寄せてた顔を上げると、顔が赤く見えた。

きっと、訊けば夕陽のせいだと言うだろう。

けど、夕陽の所為だけではないでしょ?

何も突っ込まず、私は涙を指で払いながら再び夕焼け空へと視線を戻した。



「2人で一緒に居た時間は少なくはないのに、こうしてゆっくりと穏やかな時間を過ごすのは初めてだよね」



「悪くはない」



「もう、何も心配しなくて良いなら、こんな時間を多く過ごしたい」



別に風岡との行為が嫌いってわけじゃないけど、女の子特有の日以外は断る事が怖かった。

素直に受け入れてないと、2度目はないんじゃないかと思ってた。

他の人のところへ行ってしまうと……。

しかし風岡も私の母親にも言ってしまった手前、私だけであるという事、頼香ちゃんと何もないというのは、あながち嘘ではないだろう。

だったら、焦りも我慢もせずに、のんびりと行こう。

こうした時間も大切にして行こう。