「将李と何か話した?」



「それなりに」



「何か言ってた?」



「普通だろ」



何を言われても気にしないだろうけど、普通って何か。

将李が大人しく話せる人だとは、家族として思えない。

けど、風岡もいちいちそれで騒ぐ人ではない。

揉めたりしてないなら、特に深く聞かず諦める。



「買って来たぞー」



戻って来た将李は、風岡に私のお茶とコーヒーを渡し、自分はパイプ椅子に座ってミネラルウォーターを飲んでる。



「お前が飲ませろよ」



「……言うと思った」



しかし、風岡にお茶を突き返された将李は、それを受け取り、ペットボトルの蓋を開けてストローを挿した。

私は自分でティッシュを口元に宛がいながらストローを咥えてお茶を飲む。



「ふーっ……」



自分で気付かなかった程に、身体は相当水分が失われてたのか、お茶を半分近く飲んでしまった。




「他に何か居るか?」



「んー。別に今はない」



特別室ではなさそうだが、一等室のこの個室は、テレビは無料だし、特に求めるものはない。

お茶を冷蔵庫へとしまう将李に首を振り、窓から空を見つめた。

外に出たい。

日焼けは嫌だし、運動が好きなわけでもない。

ただ、外の空気が吸いたいだけ。

部屋の中で1日を過ごすなんて窮屈。

実家に居た時のような気分だ。