「お前、あれから検査受けてんのかよ」



「してない」



「何でしてねぇんだよ!」



「してみなよ。もしかしたら、頼香ちゃんみたいに再発してるかもよ?」



「真面目に答えろ。お前は白血病だろ」



「頼香ちゃんは?子宮癌で摘出したんでしょ?」



「……卵巣癌」



「子供、産めないじゃん」



「お前も再発や転移したらそうなるかも知れないだろ」



「……そうだね」



けど、母親にお見合い結婚させられて、愛するかわからない夫に看取られてとか、私はご免。

それに、1人で検査しに行って“再発してますね”とか言われたくない。

だったら、このままで良い。

風岡と平日を過ごして、土日は適当にやり過ごす毎日の中で生きて居たい。



「まぁ、身体に以上がないなら良い」



「ないよ。誰も心配してくれないと、かえって健康」



「どこまで冷めてんだよ……」



将李は呆れたように溜め息を吐きながら、焼き鳥に手を伸ばした。

私は取り分けた大根サラダを頬張りますながら、短くなり、火の気のなくなった吸い殻を灰皿に捨てる。

別に死にたいわけではない。

だから、それなりに私はサラダも食べるし、和食を中心にした食事をしてる。

元々が和食好きだったし、多少は気にしてる。

でも、風岡と居ると忘れられた。

病気の事も、将李を除く家族の煩わしさも全て。



「私が生きてたら、嬉しい?」



「当たり前」



将李だけだよ、そんな事を思うの……。