バン! と目の前に差し出された一万円札。

50代半ばから後半であろう、私の母とそう変わらない年齢の女性が手にしているのだけれど。私は戸惑うばかり。


だって……


「お金、こわして」


と、レジカウンターの前にいるお客さまがおっしゃいましたから。


あ、申し遅れました。私は井東美以子と言います。23の一応女です。県外からこの町へやって来て、縁あってこのコンビニでアルバイトさせていただいてます。