ー芽衣sideー


「もう!どこにあるのよ!ラジカセ!」


ホコリっぽい倉庫の中で体育祭に使う機材を探していた。


「ほんとにここにあるんですか?」


「先生からはここにあるって聞いたよ」


ホントにホコリっぽい。


なんとなく上を見上げると


「あ!あった!」


私たちが探していたラジカセがあった。


しかも手の届かない高さのところに。


180センチはありそうな中島くんでも多分届かない。


「中島くん脚立取ってー!」


中島くんの近くにある脚立をとってもらう。


「俺やりますよ。まあまあ身長あるんで」


まあまあどころでもない気がする。


「んーありがたいけど大丈夫!脚立とか乗りたい系女子なの私」


「どんな女子ですかそれ」


中島くんが笑う。


普通の顔はかっこいいのに笑うと子供みたいな笑顔だな。


可愛い。


ちなみに脚立とか乗りたい系女子なんて私にもわからない。


「気をつけてくださいよ。女子なんだから」


と言って私が乗った脚立をおさえる。


パンツとか見えてないかな。


ちょっと心配。


「はいよ」


私はラジカセを取り、中島くんに渡す。


すると奥からテントが出てきた。


「テントも持ってかなきゃだ!」


「そんな大きいの重いし危ないですよ」


中島くんは心配してくれるけど腕力にも意外と自信あるし。


大丈夫、と言ってテントに手を伸ばす。


すると


「きゃー!」


私の目の前に蜘蛛が。


驚いた私は脚立から足をすべらせる。


絶対痛いと思って目を瞑る。


ん?


痛くない…?


「ってぇー。」


私の下には中島くんが。


「ごっごめん!大丈夫?…じゃないよね!」


「俺は大丈夫です。先輩怪我とかないですか?」


中島くんの方が痛いはずなのに私の心配をする。


私の足を見て


「擦りむいてんじゃないですか。しかも血出てるし」


ふわっ


気づけば中島くんにお姫様抱っこされてる。


「保健室いきますよ」


「だっ大丈夫だよ!これくらい!」


恥ずかしいし!


重いだろうし!


「女の子なんだからキズ残ったらたいへんじゃないですか」


その言葉にちょっと照れる。


少し赤い顔を見られたくなかったから必死に


「わかった!保健室には行くから下ろして!」


と頼むけど


「やだ」


下ろしてくれない。


嫌だという中島くんは笑ってる。


「年上をからかわないの!!」


絶対からかわれてるよね、私。


ほらまた笑ってる。


「このまま連れてくんで」


私はそのまま保健室に連行された。