だけど私はその二人に、どんな顔でどう応えていただろう。同じ水の世界で過ごし同じように好きなことに取り組んできて、一番私の気持ちも分かってくれるはずなのに、二人の気持ちを上手く受け止められなかったように思う。
――いつかまた一緒に。
その期待はあまりにも重すぎた。
もう、すべてが限界だったんだ。
好きなように泳げずに息苦しさばかり募っていく時間も、純粋に水の世界を好きだと思えなくなってしまった自分も。
その末に、悲鳴を上げた心も身体も。
全部から逃げ出してしまいたかった。だから私は二人と“いつか”の約束を結ばずに、自分の生活の一部だった水泳を身の回りから消すことにしたんだ。
欠場した大会をきっかけに部活を引退し、長年通ったスイミングスクールもやめた。終わりなんて呆気ない。
周りの「また泳げるようになる」という言葉も無視してそのまま水の世界に戻らず水泳を手放すと、水泳で繋がった二人のことさえも避けるようになった。
それなのに、どうして二人はいつまでも私に優しくしてくれるのだろう。こんな身勝手で最低なやつを放置せずに、友達としての関係を保ってくれるのは何故なんだろう。
いっそ潔く、二人が私を手放してくれたら楽になれるのに……。そんなことを考えたこともある。
だけど現状は、その逆に向かうばかり。私の願いよりも、二人の願いに沿うようなことばかりだ。
「……はぁ」
1年前から堂々巡りしている悩みは、今日も変わらず私を取り囲んでいる。
競泳大会の会場であるスポーツセンターの玄関先で佇んでいる私は、複雑な思いを込めたため息を吐き出した。私が今日ここに来たこと、あの二人が知ったらどんな反応をするのかなと考えながら。


