もう、どうしてこんなときに限って、私と“ハル”の気持ちはシンクロしちゃったんだろう。
度々“ハル”の気持ちと自分の気持ちが重なる瞬間を撮影中に経験してきたけど、何もこんなマイナスな感情を共有出来なくてもいいのに。
「……そうだ波瑠、明後日の予定空けとけよ?」
さっきのシーンの別カットを撮るらしく、先輩は今、教室前方に移動してカメラを構えている。
また知らない間に撮られていると困るのでじっとその様子を眺めて待っていたのだけど、先輩の口から飛び出してきたのはスタートの合図ではなかった。
「何ですか。また特別レッスンでもするんですか?」
以前、うっかり予定がないと答えた末に、やや強引に先輩に付き合わされたことがある。
あのときの特別レッスンと称した市民プールでの演技の練習は結果的に有意義なものになったけど、同じようにいいことばかりが起きるとは限らない。
だから先輩が私に予定を空けて何かをさせようとしているのが想像ついていたとしても、警戒して直接的な返事はしなかった。とりあえずちゃんとした返事は、具体的な用件を聞いてからにしよう。
「そうだな、捉え方によってはそうなるかも。……ていうかおまえ、明後日に何があるかぐらい知ってるだろ?」
「明後日……あぁ、そういうこと」
思い当たる件が一つだけあることに気付いて、ため息をこぼすように小さく呟いた。
――競泳大会。
明後日、県内にあるスポーツセンター内で開催されるそれに、水泳部の人達は出場することになっている。
3年生である航平くんと沙夜ちゃんにとっては、高校最後のレースだ。
「明後日、一緒に応援に行くぞ。映研部のメンバーも全員参加で」
「えっ、私も一緒にですか……?」
先に予定を空けろと言っていたはずなのに、もうすでに私も一緒に行くことが決定しているような口振りに変わっていた。


