すぐそこに迫っている未来をぼんやりと思い浮かべてみると、何だか寂しさが忍び寄ってくるような感じがした。
その未来はある意味今までの状況に戻るだけで、それこそが本来の私の普通の日常でもある。だけど高坂先輩と出会ってから過ごした時間にすっかり慣れたせいか、普通だと思っていた日常に戻ることに一抹の不安を覚えてしまう。
この映画が完成する頃、私は――。
「……はぁ」
つい、重いため息が漏れた。考え始めるときりがない。どんどん下降する思考に歯止めをかけようと、頭を振って気持ちを入れ替えた。
そして、ふと前方を見遣ったとき。
「……えっ?」
ビデオカメラを覗く高坂先輩の姿が目に入り、一瞬、意味が分からなかった。だってその姿は調整のためにカメラを覗いている感じではなくて、明らかに録画のためにカメラを私に向けている様子だったから。
戸惑う私の輪郭が、正面から向けられているビデオカメラのレンズの中で動く。
「先輩、スタートって言いましたっけ?」
「ん? まだだな」
「でもこれ、撮り始めてますよね……?」
そう尋ねると、ずっと私にビデオカメラを向けていた先輩がようやくボタンを操作して顔を上げた。どうやら、撮影をやめたらしい。
先輩はいたずらっ子のように笑った。
「何だ、ばれてたのか」
「いや、ちょっと、何勝手に撮ってるんですか! 撮るならちゃんと言ってからにしてください!」
撮られていたであろうさっきまでの自分の様子を考えると、今すぐ映像を消してもらいたくなった。撮影を意識していないから完全に無防備だったし、何より絶対、変な顔をしていた。
思考がぐるぐると回った末にネガティブに辿り着いているときの顔なんて、どう考えても不細工に決まっている。


