結局、帰ったのは日付が変わる頃だった。代行運転で纏めて送ってもらった。


お店に着いて裏口から静かに鍵を開けて中に入る。けれど穏やかな笑顔で真言さんに迎えられる。


「お帰りなさい、楽しめましたか??」


思わず小さくなって、


「………遅くなりました」


「壬言が、ヤキモキしてましたよ」


「そうなんですか???」


「そりゃあそうですよ。例のライターはどうなりました??」


「ああ、緋居くんも来ましたよそういえば…」


言い終わらないうちに、ガラッ!!と部屋の引き戸が開く。
顔を出すと、


「変なこと、されてねえだろうな!?」


「変なことって、なんですか??」


「飲みに行くというお話でしたが、飲んでないですね??お酒は」


お酒の臭いはしなかったようだ。代わりに服が煙草臭くなった気はする。


「はい、喉が痛かったので。ただのお茶会になりました。で、変なことって、なんですか??」


「知るか!!バカ女!!」


真っ赤になって引き戸を乱暴に閉じる。


「……どうかしたんですか??」


「まあ、いいじゃないですか。お部屋にお入りなさい。お休みなさい」