ああは言われたものの、やっぱり気になった私は、お昼頃、病院に行ってみた。


退院したのだから、花屋に行けばいいのだけれど、なぜ病院に行ったのかもよくわからない。


なんとなく、ただなんとなく。
御山と呼ばれた女性の素性というか、仕事ぶりをこの目で見たかった。


受付で聞いてみる。


「あの、看護士さんで、御山さんて方、いらっしゃいますか??」


「ああ、お待ちください、奥に」


いた。
しかも回診や休憩じゃなく、そこに!?
あまり深く考えず行動してしまった自分に後悔した。出てきたところで、なにを話すこともない。


壬言さんに近付かないで、とでも言うつもりか。彼女かどうかも怪しい立場で。


しまった。どうしたら。
が、


出てきたのはポッチャリした眼鏡の別人だった。


「……どちら様??」


「あっ、いえ、すみません!!間違いました!!」


慌てて立ち去る。
どういうことか。
堂々とした偽物か!?


仕方なく病院を出ようとしたとき、白いパーカーを被った細身の人物に腕を掴まれ引っ張り出された。


「なっ!?なに…」


言った口をハンカチで押さえられ、気を失ってしまった。