今まで、親以外にそんな事を言ってくれる人はいなかった。


でも、いつも思っていた。


双子だけど、『僕は僕』、『昴は昴』なのに、って。

グッと握り締めた拳で目元を拭う。


僕は初めて心から思った。


━━『あの人が欲しい』━━


昴の事を好きなんて、関係ない。

もとより昴には結婚を約束した彼女がいるし、夏夜さんが入り込む隙間などないだろう。

そこに、つけ込む事は出来ないだろうか。


卑怯でもなんでもいい。


夏夜さんが手に入るなら、どんな酷い手段も使ってやろう。